「デザインは才能だけではできない」と知った日のこと – WebSig1日学校ワークショップ講師・佐藤好彦さんとの出会い


ブログ初登場・1日学校実行委員は今年初参加のふうり(@fuuri)です。
今回はちょっと、私個人の昔話をさせてください。

私が「Webクリエイター」と名刺に書いて活動を始めたのは2000年10月のことです。
最初の数年はなんでもやっていました。デザインやHTMLマークアップはもちろん、PerlやJSも自分で書いてましたし、ディレクションもプランニングもPMも講師もやっていました。得意とか苦手とかいう感覚はなく、ただお客様に求められたことをやるという意識だけがあり、そのためだったらまったくわからないことでも勉強して、プロとして認められるレベルまでいくために必死でした。

ただ、いろいろなことをやっていく中で「デザイン」だけは努力しても無理なんじゃないかという意識がありました。デザインをするには「センス」が必要で、生まれ持った才能がなきゃいけないから、どんなに勉強したり練習したりしても才能がある人には勝てないんじゃないか、と思っていました。

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今回WebSig1日学校でワークショップの講師をしてくださる佐藤好彦さんとは、そんな時期に「オンライン講座の講師同士」という立場で出会いました。もう10年くらい前になると思います。佐藤さんは当時からすでに本を何冊か出されていて、大学でデザインの講師をしていて、デザイン系の雑誌にもいくつも寄稿しているスーパーな人でした。

彼は「デザイナー」なのですが、何度か接するうちに私がそれまで描いていたデザイナー像とは大きく異なる印象を持ちました。デザイナーというのは「アピールをする人」というイメージがあり、自分の個性を全面に出すようなイメージがあったのですが、佐藤さんは静かに熱く、非常に哲学的にデザインを語る人のように思いました。

もう何年も前にデザイン系雑誌が企画したイベントで聞いた彼の講演は、それまで聞いたどの講演よりも腑に落ちて、ものすごく感動したのを覚えています。

彼が考えるデザインには「理由」がはっきり見えるのです。
デザインについて考えるときはいつも、そのデザインがなんのために、誰のために、どういう行動のために存在するのかを考えなければならない。そしてそのためにできる努力はたくさんあるのだ、ということを教えられました。
むしろ才能だけでデザインはできず、努力とか調査とか「思いやること」が大半を占めるのだということを、このときに知ったのです。

この時を境に、私が提案する「デザイン」は大きく変化したと思っています。
そんなわけで、佐藤さんは私が師匠的な立ち位置で非常に尊敬している数少ないデザイナーのひとりです。

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佐藤さんはこれまで、2010年、2011年のWebSig1日学校に登壇してくださっています。私は当時WebSigのスタッフとしては関わっていなかったため、当時登壇を知ったときはとてもびっくりして、2010年の1日学校で久々に佐藤さんの講座を参加者として受けることができ、本当にうれしかったです。

ちなみに、2010年の佐藤さんの授業はこんな感じでした。

sato_2010

 

これは、楽器を使ってデザインの原理を説明しているところです。他にもいろいろな道具を使って、それを並べたりしながら解説をしています。とても分かりやすく、すっと頭に入る授業の展開で、授業構成自体に彼の「デザイン」がしっかりあったように思います。

 

そして今年、2年ぶりの佐藤さんの授業は「ワークショップ」の教室で行います。通常の「クラス」とは異なり、当日受付を行って先着順に入るというスタイルのもので、おそらくこれまでよりももっと佐藤さんらしさが見える授業になるのではないかと思っています。デザイナー駆け出しの人も、デザイナーベテランの人も、多分、デザイナーではない人でも、きっと得るものがあると思います。

どのコースのチケットの方でも参加可能ですので、当日ぜひぜひ参加してみてくださいね。
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